漫才「北京五輪」

新井>
今年の夏といったらやっぱりあのイベントですよね

荒井>
隅田川の花火大会でしょ?

新井>
それは毎年やってるだろ!「今年の」って言ってるじゃないか!

荒井>
えー何かあったかなあ……あ、パラリンピックか!

新井>
いやそれもあるけどもうちょっとメジャーなほう行こうよ!

荒井>
じゃあタモリンピック?

新井>
それはもうずいぶん前に終わったよ!てかそんだけ挙げてるんだからわかってんだろ!

荒井>
わかってますよ、北京オリンピック。楽しみですよね


新井>
そうですよ、世界中が熱狂するスポーツの祭典。開会式から興奮しちゃって

荒井>
もう開会式が終わったらオリンピックも終わったようなもんだからね

新井>
まだ始まってもいねえよ!そこからが本番だろ! でも開会式といえば毎回パフォーマンスに驚かされるじゃない

荒井>
僕がこれまでで印象に残ってるのはあれだね……世界中を松明を持ったランナーが走って最後に開会式の会場で点火するやつ

新井>
それ聖火リレーだろうが!毎回やってるよ!

荒井>
あのボッて燃え上がった瞬間に「ああ、五輪は終わった」て感じだよね

新井>
だからまだ始まってねえよ!どんだけ手短に済ませたいんだよ!

荒井>
まあ、毎回いろいろ工夫を凝らしていて興味深いのは確かだよ

新井>
ボクの記憶の中だとバルセロナ五輪かなあ。音楽監督カレーラスだし、マスゲームのBGMを作曲したのが

荒井>
ゼンジー北京でな

新井>
坂本龍一だよ!なんでゼンジー北京が作曲活動しなきゃいけないんだよ!

荒井>
ほら、北京にゆかりのある日本人ということで

新井>
今はバルセロナ五輪の話だろ!勝手に話を戻すな!……しかし実際、今回はどんなパフォーマンスが出てくるんだろうね

荒井>
そりゃ中国といったらあれですよ、パンダ。

新井>
パンダ? どうするんだよ、そんなの

荒井>
聖火台の中央にパンダを数頭置いてこんがり焼き上げるんだよ

新井>
「焼き上げるんだよ」じゃねえよ!ただの動物虐待だろ!

荒井>
『北京パンダ』とかいって名物料理になっちゃって

新井>
『北京ダック』みたいに言うなよ!

荒井>
いつぞやの「段ボール肉まん」ともどもライセンス商品にして経済効果を狙ったり

新井>
あれは視聴率欲しさのガセネタだろ!せっかく忘れかけてたのにイヤなこと思い出させるな!

荒井>
じゃあ何を燃やせばいいんだよ!

新井>
どうしてそうなんでも燃やしたがるんだよ!

荒井>
結局宇宙からは見えなかった万里の長城も燃やせば多少は判別しやすくなるんじゃないかな?

新井>
ただの焼き打ちだろうが!立派な重要文化財になんてことしてんだよ!

荒井>
ところで盛り上がるのは結構なことだけど本質はスポーツの祭典だからね

新井>
でも勝ち負けじゃなくて「参加することに意義がある」っていう言葉もあるよ

荒井>
サビるだけだと思うんだけど

新井>
「酸化」じゃねえよ!しかも「酸化することに意義がある」って意味わかんないよ!

荒井>
でも名言じゃないですか、「勝つことではなく参加することに意義がある

新井>
オリンピックは他にもいろいろ名言があるじゃないですか、たとえば柔道の谷亮子選手の

荒井>
ああ「はてなちゃん」ね

新井>
ヤワラちゃん」だよ!確かになんか似たような髪型してるけども!

荒井>
でも年齢的に「ちゃん」てのもアレだからそろそろ「ヤワラさん」にしたほうがいいと思うんだけど

新井>
どうでもいいよそんなことは!アダ名なんてそんなもんだろ!……いいから谷選手の名言に話を戻すぞ

荒井>
「最高でも金、最低でも金」だね

新井>
凄い言葉だよね

荒井>
まるでルールをわかってないんだからな。最低だったら予選落ちだっつーの

新井>
そうじゃねえよ!彼女はそれまでずーっと銀メダルしか獲れなくて、でも諦めずに自らを鼓舞する、その気迫に満ちている言葉だから凄いんだろ

荒井>
そうだったの?

新井>
わかってなかったのかよ!よくさっきの台詞が出てきたな!

荒井>
まあ、気迫に満ちた名言といえば僕としてはハンマー投げの室伏選手の台詞が思い浮かぶね

新井>
……何かあったっけ?

荒井>
投げた後の「アーッ!」てやつだよ

新井>
あれはただの雄叫びだよ!

荒井>
あんなに気迫に満ちたものもないと思うよ

新井>
いや確かに気迫に満ちてはいるけどセリフではないだろ!

荒井>
しかし卓球の福原愛選手の「サーッ!」といい、日本のアスリートはどうしてああも叫ぶかね?

新井>
いいじゃねえかよ別に!それだけ気合いが入ってるってことだよ!

荒井>
もしオリンピックの公式種目に「大声コンテスト」があったら金メダル取り放題かもね

新井>
ねえよ!

荒井>
「声量」「技術点」「背景点」でそれぞれ点数をつけて競う、みたいな

新井>
「背景点」ってなんだよ!

荒井>
その大声を出すに際しての理由が納得できれば出来るほど高く点数がつけられるんだよ

新井>
意味わかんねえよ!

荒井>
たとえば上司からの理不尽なお叱りや使えない部下の失敗などの鬱積なんかは高得点、みたいな

新井>
なんでそんな切ない採点基準を設けてるんだよ!

荒井>
とりあえずJOCに掛け合ってみないとね、とりあえず2016年の公式化をメドに

新井>
付き合ってられるか!いいかげんにしろ!