2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 「空に思ふ」の巻

空に思ふ。 古人曰く「月はくまなきをのみ見るものかは」と。 倣ひて申す。月は宵闇に顕正して浮かぶをのみ見るものかは。 白き面してつとめての空にかげ消えゆくもをかし。 われもまたかく消えゆくもがな。

 「我が名は」の巻

わたしはファーストネームで呼ばれることを大いに嫌う。物心ついたときから、訳もなく嫌っていた。年上なら許すが、同年代だとやや癪に障る。外国人にすら、わたしは「名」で呼ばれたくない(何故ああも彼らは苗字で呼びたがらないのだろうか)。苗字が発音…

 一言

単位を取りたいがために解答用紙に綺麗事を書いた日は、右の手首を切り落としたくなる。

 「文学最前線」の巻

『文藝』2005年夏号を読み返す。実際、何度も読み返しているのだ。とりあえず山田詠美はあまり好きじゃないので研究しておく必要があるからだ。というより現代女流文学そのものが好きじゃない。面白くない。金原ひとみの新作中篇もなんか拒食症の女性が出て…

 「レビュー」の巻

阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』読了。二時間くらいか。とりあえず東京という都市空間が文学に与えた影響を探るつもりで読んだが、あまり資料としてはよろしくなかった。面白いからだ。 全体としては「随分と親切なつくりだなあ」という…

 「マスターキー」の巻

CDのヒットチャートも幼児期の反響言語も日本武道館で数多く行われるライヴもカヴァーアルバムもネットを媒介とした集団自殺もブラック・ダリアもデジカメの売れ行きもナチス軍の成功もオイディプス・コンプレックスも、すべてこれで片付く。 「ミラーニュー…

 「文法」の巻

本日、古語文法の試験があった。担当教員は某国立大学(教育系メイン)の名誉教授であらせられる。洒落のセンスもあるのだが、如何せん学生が反応しないのは彼のレヴェルが高すぎるからだろうか。昨年度に別の講義で顔を合わせていたので、現在も稀に話をす…

 「ディレクターズカット版」の巻

養老孟司『身体の文学史』に関するレポートを書いたのだが原稿用紙15枚超過というなかなかの容量になった。それでも書いていた累計は24時間に満たない。しかも泣く泣くカットした部分がある。全体を通して浮いている感じがしたからだ。蓮實文体をさらに長く…

 「厭世観と厭世」の巻

某講義の講師は我々の先輩にあたる。つまりこの大学を卒業し、今度はこの大学で飯を食ってるわけである。彼は自身の大学生活を振り返って語った。夏休みに新潮文庫を大量に読み漁ったこと。真の大学生とは講義時間外に勉学に励むこと。大学だけではなく、ど…

 「論文進化論」の巻

レポートを認めていてつくづく厄介だと感じるのが今回のテーマにある「論文進化」である。主な課程はこうだ。 ☆一応書き上げる ↓ 誤字脱字のチェック ↓ 段落組み換え(帰納法になっているか否か) ↓ 別のアイディアが浮かぶ(削除・追加) ↓ とりあえず文章…

 「水面下」の巻

松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』読了。中編小説なので30分くらいか。やっぱり小説でも音楽でも映画でも、Entertainmentは須らく「設定」が肝要であることを再確認した。「目が覚めたら精神病院」とは、なかなか思いつく構図ではない。無機質な感…

 「芥川の無念 敗北」の巻

http://d.hatena.ne.jp/araimeika0910/20050605#1193764530 ↑まずはこちらを読んでから。 芥川も結局「身体性」を確保出来なかった。遺稿のひとつである「或阿呆の一生」においても度々身体は明示されたものの終盤にはPlatonic Suicideという概念を抽き出し…

 「言文一致」の巻

四迷は小説に「言文一致」をふんだんに取り入れたとして高く評価された。それは文章に土着感や臨場感を演出させたというそれだけのことだが、それは小説においては非常に重要なことだ。だったら何故先人はその方法を用いなかったのかというと単に思いつかな…