2005-01-01から1年間の記事一覧

 「省察」の巻

2005年最後は黒人音楽について書いておこうと思う。といってもわたしは20世紀以降の音楽の切れ端しか見えていないのだが、とりあえず書くことにする。 わたしにとって音楽はそれが自然であればあるほど心地よい。エリック・サティが提示した「家具のとしての…

 コント「恋人紹介センター」

2006年、政府当局は年々記録が更新される出生率の低下を深刻な事態であると鑑み、「公共の医療機関における恋人あっせんに関する法律」を制定した。これは男女の出会いの円滑化および促進によって出生率を上げることを目的としており、その場として様々な検…

 「2005年を省みて」の巻

50年代に登場したテレヴィジョン、及びそれを利用するメディアの最大の特徴はその情報量にあった。昨今は「インターネットは情報の山」と叫ばれて久しいがわたしは今でもテレビは情報媒体として最も大きな力を持っていると考える。所以の一つはその強制性で…

 「クリスマス」の巻

サンタクロースは確かにいると思う。 良い子のところにしか来ないだけであって、 多くの人がサンタクロースを信じていないのは 単に「自分が良い子ではない」と 心のどこかで確信しているがゆえである。

 「青年パンク」の巻

自分はパンクが好きなのだと自覚した。これまで自身の音楽に対する興味は電子音楽に向いており、クラフトワークからグリッチ、デトロイトテクノ、トランス、ガバとまず根幹に電子音があることが基調だと思っていた。が、どうやらそれとて「パンク」という概…

 「芝浜」の巻

タイムリーな話題を。立川談志による「芝浜」を見る。ドラマ「タイガー&ドラゴン」で取り上げられたのでご存知の方も多いと思うが、この談志ヴァージョンは名演なので是非ご覧頂きたい。落語は大きく二つの方向に噺が分けられる。笑い話と人情話だ。前者は…

 「カラオケ不可」の巻

くるりの最新マテリアル「NIKKI」を聴く。シングルでは「ワールズエンド・スーパーノヴァ」以来のミニマル系「赤い電車」が素晴らしい出来だ。TR-808(だと思う)のビートと岸田繁の声は本当に相性が良い。「ワールズエンド〜」では909だったか。単にわたし…

 「あなたのための全体主義」の巻

結婚記念日のケーキを前金で支払ったばかりだというのに、本屋で「国民クイズ」を見つけたので衝動買いした。復刊していたのか、と思って版元を見たら太田出版だった。予想は何となくしていたけど、相変わらずいい仕事をしてくれる。思い返せば「ゴールデン…

 「25年目の三羽烏」の巻

やっとBeastie Boysのベスト盤を購入した。DEEP PURPLEに絆されていた中学生の時分に「Fight for your right」を聴いて以来、企画盤「Grammy Nominees」でその名を見たときはちょっと嬉しかったり、テレビでDJ Mix Master Mikeのスクラッチプレイを目の当た…

 「We were born to run」の巻

金原ひとみ「蛇にピアス」読了。読もう読もうと思ってすっかり忘れていた。全体的に谷崎「刺青」の匂いがする。あれも結局SMの話であり、主人公がSからMへ移る様が一応の全体を為している。さて「蛇にピアス」であるが、「刺青」に川端「水月」を足して現在…

 一言

「勤労感謝の日」とは「勤労できることに感謝する日」である。

 「説教」の巻

昨日の話。外へ出ると幼稚園児だか小学生だかの群れがわーっとキャンパスに広がっていた。一人が駆け寄ってある学生に向かって「なにけんしゅっしんですか?」と訊いていた。ぶん殴ってやろうかと思った。少なくとも軽く説教はたれることだろう。彼らはいわ…

 「展覧会の絵」の巻

「シンガポールで性の展示会、警察は現地視察で監視」 http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/singapore.html?d=18reutersJAPAN194445&cat=17&typ=t 上の記事の中に、以下のような文章を見つけた。 > 警察スポークスマンのビクター・ケオン氏は > 「…

 「ことばについて」の巻

昨今のテレビ番組ではとかくに「正しい日本語」を取り扱うタイプを目にする。バイトの休憩時間に「タモリのジャポニカロゴス」を観ていて、「申し訳ありません」が誤用であるとされていた。これは「申し訳ない」が分割不能な一単語であるがゆえであり、正し…

 「ある晴れた悲しい朝」の巻

午前9時、相棒と共にあるところへ行った。 いつもの方向音痴が災いしてとんでもない方向へ進んだので、 近くの駐在を訪ねたらいくらインターホンを押しても出てこない。 仕方なく引き返し、より前にあった駐在へ道を問うた。 案の定、わたしは正反対の方向へ…

 「ザッツ・エンタテイメント」の巻

時折夜6時のニュースを見る機会があるのだが、どこの局もやっている企画でごく内輪なネタを扱うというものがある。で、今回は土地開発に向けての桜の木の撤去を巡って近隣住民と業者との言い争いが取り上げられていたのだが、どうも腑に落ちない。というのも…

 「ゆー らぶ ひっぷほっぷ?」の巻

たまには軽い話でも。「HIP HOP BIBLE」という日本語ラップのコンピレーションCDがある。「黒盤」「白盤」の二枚に分けられているのだが、前者は90年代後半〜2000年代の楽曲が収められている。曰くDABO、S-WORDなど。サグなビーボーイたちにバカウケな感じだ…

 「新体制」の巻

友原康博の詩を読んだ。ゲロ吐きそうになった。文学と身体との融合が確かにそこにある。どちらか一方による擁立ではなく、身体なくして彼の詩はあり得ず、文学なくして彼自身はあり得なかったに違いない。それは要するに天啓である。鈴木光司「リング」で浅…

 「さよなら」の巻

ミヤコワスレという花がある。別名、「東菊」。かの順徳院が佐渡にて、都への想いを少なからず癒すことが出来たことから名づけられた。花言葉はここより転じて、「別れ」「短い恋」「しばしの憩い」。見沢知廉の遺作「愛情省」を読んだ。 愛情省とは、国家に…

 「低迷」の巻

前回はSMについて大いに語ったのだが、読んでしまった人には精神的苦痛を味わわせてしまったことだろう。マイミクシィが8人もいる人間が「フィストファック」とか書いちゃ駄目だろ。大体「フィストファックって何ですか」て訊かれたらどうするつもりだったの…

 「交歓」の巻

本日は18歳以上推奨。おこさまはぺーじをとじてください。 第39回新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」を読む。何だか「殺し屋1」を思い出した。つまり、SMというのは行為そのものではなく責めと受けとの精神的相互理解があって成り立つもので、しかもそれが無…

 「ホスト及び風俗に関する短い考察」の巻

ホストという職業はあらゆる労働の中でも過酷を極める重さがあると思う。このあたりを機会があったら是非「八王子の夜の帝王」こと土田社長に伺いたいものだ。まず彼らが凄まじいのは仕事で酒を呑まねばならないことである。これは酒が好きな人間にとっては…

 「その裏に」の巻

映画「レーシング・ストライプス」を観た。シマウマが競走馬になるという物語で、それまでの紆余曲折があっていわゆる感動モノのラストが待ち受けているというありがちな作品だった。ここでひとつの疑問が浮かんだ。これは動物を扱う映画に得てして現れる現…

 「恋というもの」の巻

以下の和歌を内容を踏まえて現代語訳せよ。 ひとを思ふ心はわれにあらねばや身のまどふだに知られざるらむ これは実は先日のある講義において取り上げられたもので、ひとりの学生が以下のような現代語訳をしてくれた。 「誰かを想う心がわたしには無いので、…

 「2007年」の巻

今月8日は都立六本木高等学校の説明会だったらしいが、これには参加すべきだったと思う。文学方面へ向かっていって、もう教員免許はいいかなと考えていたのだが、最近になって定時制高校に食指が動いていることを自覚したからである。中でも六本木高校のカリ…

 「価値と値段」の巻

大学という教育機関に身を置いて驚いたことのひとつが、教科書を後輩に売り払う、という伝統的アクションである。これを見て真っ先に勿体無いという印象がわたしの脳裏に登場する。当然これは低所得者層民特有の真に身勝手な倹約精神、言い換えれば貧乏根性…

 「波長と符合」の巻

今回のテーマはイシバシハザマである。トータルテンボスはその語彙、語法という点においてシニカルな側面を持っていたが、イシバシハザマの持ち芸のひとつ「おかしな話」は構造として日本語の特徴を捉えた感触をしているのだ。 ショートコントという演芸の形…

 「電波塔」の巻

ASIAN KUNG-FU GENERATIONに「電波塔」という曲がある。ファーストアルバム『君繋ファイブエム』の三曲目であり、シングル曲だった「未来の破片」の次に配置されている。序盤は正統派ロックなのだが、一回目のサビが終わると何故かベースパートが抜けて軽く…

 「追究」の巻

伊藤氏貴「阿部和重論」を読む。要するに阿部の作品には軸とか中心といったものがないということだろう。それはわたし自身もかつて「グレイ・ゾーン」という単語を用いて把握していたので別段面白い内容ではなかった。ここで伊藤氏は阿部の作品を「闘う人々…

 「A boy colored Pinkdark」の巻

映画「チャーリーとチョコレート工場」が観たいのだけれど、最寄の映画館では上映の予定はないという。仕方ないが立川まで足を伸ばさなければならない。本も買うのも映画を観るのも立川へ訪れる必要がある。CDなら何とか間に合うがレコードではやはり立川へ…