2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

 「ゆー らぶ ひっぷほっぷ?」の巻

たまには軽い話でも。「HIP HOP BIBLE」という日本語ラップのコンピレーションCDがある。「黒盤」「白盤」の二枚に分けられているのだが、前者は90年代後半〜2000年代の楽曲が収められている。曰くDABO、S-WORDなど。サグなビーボーイたちにバカウケな感じだ…

 「新体制」の巻

友原康博の詩を読んだ。ゲロ吐きそうになった。文学と身体との融合が確かにそこにある。どちらか一方による擁立ではなく、身体なくして彼の詩はあり得ず、文学なくして彼自身はあり得なかったに違いない。それは要するに天啓である。鈴木光司「リング」で浅…

 「さよなら」の巻

ミヤコワスレという花がある。別名、「東菊」。かの順徳院が佐渡にて、都への想いを少なからず癒すことが出来たことから名づけられた。花言葉はここより転じて、「別れ」「短い恋」「しばしの憩い」。見沢知廉の遺作「愛情省」を読んだ。 愛情省とは、国家に…

 「低迷」の巻

前回はSMについて大いに語ったのだが、読んでしまった人には精神的苦痛を味わわせてしまったことだろう。マイミクシィが8人もいる人間が「フィストファック」とか書いちゃ駄目だろ。大体「フィストファックって何ですか」て訊かれたらどうするつもりだったの…

 「交歓」の巻

本日は18歳以上推奨。おこさまはぺーじをとじてください。 第39回新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」を読む。何だか「殺し屋1」を思い出した。つまり、SMというのは行為そのものではなく責めと受けとの精神的相互理解があって成り立つもので、しかもそれが無…

 「ホスト及び風俗に関する短い考察」の巻

ホストという職業はあらゆる労働の中でも過酷を極める重さがあると思う。このあたりを機会があったら是非「八王子の夜の帝王」こと土田社長に伺いたいものだ。まず彼らが凄まじいのは仕事で酒を呑まねばならないことである。これは酒が好きな人間にとっては…

 「その裏に」の巻

映画「レーシング・ストライプス」を観た。シマウマが競走馬になるという物語で、それまでの紆余曲折があっていわゆる感動モノのラストが待ち受けているというありがちな作品だった。ここでひとつの疑問が浮かんだ。これは動物を扱う映画に得てして現れる現…

 「恋というもの」の巻

以下の和歌を内容を踏まえて現代語訳せよ。 ひとを思ふ心はわれにあらねばや身のまどふだに知られざるらむ これは実は先日のある講義において取り上げられたもので、ひとりの学生が以下のような現代語訳をしてくれた。 「誰かを想う心がわたしには無いので、…

 「2007年」の巻

今月8日は都立六本木高等学校の説明会だったらしいが、これには参加すべきだったと思う。文学方面へ向かっていって、もう教員免許はいいかなと考えていたのだが、最近になって定時制高校に食指が動いていることを自覚したからである。中でも六本木高校のカリ…

 「価値と値段」の巻

大学という教育機関に身を置いて驚いたことのひとつが、教科書を後輩に売り払う、という伝統的アクションである。これを見て真っ先に勿体無いという印象がわたしの脳裏に登場する。当然これは低所得者層民特有の真に身勝手な倹約精神、言い換えれば貧乏根性…

 「波長と符合」の巻

今回のテーマはイシバシハザマである。トータルテンボスはその語彙、語法という点においてシニカルな側面を持っていたが、イシバシハザマの持ち芸のひとつ「おかしな話」は構造として日本語の特徴を捉えた感触をしているのだ。 ショートコントという演芸の形…

 「電波塔」の巻

ASIAN KUNG-FU GENERATIONに「電波塔」という曲がある。ファーストアルバム『君繋ファイブエム』の三曲目であり、シングル曲だった「未来の破片」の次に配置されている。序盤は正統派ロックなのだが、一回目のサビが終わると何故かベースパートが抜けて軽く…

 「追究」の巻

伊藤氏貴「阿部和重論」を読む。要するに阿部の作品には軸とか中心といったものがないということだろう。それはわたし自身もかつて「グレイ・ゾーン」という単語を用いて把握していたので別段面白い内容ではなかった。ここで伊藤氏は阿部の作品を「闘う人々…