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 「世にも奇妙な物語 '06秋の特別篇」レビュー。ネタバレを含む可能性があるので、これから観ようという方はブラウザで戻るなりどこかへ飛ぶなりなさってください。










 今回のテーマは「家族」。すべてのエピソード(超短編を除く)に多かれ少なかれ家族の描写が登場する。ストーリーの粗筋なんかはCXの公式サイトなどでチェックするように。


第1話「鏡子さん」
 冒頭で、「トイレの花子さん」かよ!とツッコミを入れた一発目。昨今におけるジャパニーズホラーの悪役は「女性で長髪で裸足」と相場が決まっているのだが、ここでも則っている(笑) が、短い尺で二転三転するストーリーはさすが「世にも」である。ところであの後、変死体は出たのだろうか。刑事を殺したらもう理由は無くなるはずなので。


第2話「部長OL」
 男女の精神が落雷で入れ替わる、というパニックコメディの定石に「世にも」的パニックコメディの定石、「結局解決されない」をまぶしたベッタベタなストーリー。ていうかイケメン男子社員の「女って(セックスのとき)男の7倍感じるらしいんだって!」という台詞に爆笑。中学生じゃないんだから(笑) 見所は三つ指をつく伊武雅刀さん。あの状態では精神はOLさんなので、彼女も三つ指をつくくらいの礼儀作法は心得ているらしいことがわかる。……ところで、釈さんってあんなにかわいかったっけ?


第3話「昨日公園」
 またリフレインモノ。毎度毎度よく飽きないなと思う。それだけにどうオチをつけるのかが楽しみでもあるわけだが。やっぱり「やり直したい」願望は人類永遠の命題ということだろうか。この直前に流された超短編「箱庭」が伏線になっているのにちょっと感心。


第4話「猫が恩返し」
 「世にも」フリークとしては、こういうトントン拍子なファンタジーは必ず裏があると予想しているので、それが当たって嬉しいやら哀しいやら。でも盗聴器だけでバンダナとかわかるのか。それと同じ柄のものをよく見つけたものだ。こういう点が甘かった。でも、猫と人生の7割以上を過ごしている人間に、あのラストは反則だ(笑) あのまま終わるとは思わなかったけど、涙腺がゆるんだ。


第5話「家族会議」
 今回のテーマを直球で題材にしたエピソード。渡辺いっけいは怖い能面を演じることができる名優であることを再確認する。娘が牛乳を飲むのは予想できたけど、あのラストは……。テレビ現役時代の「世にも」だったら普通にバッドエンドにしたろうに、まったく商売じみやがって!と3年前なら毒づいたかもしれないけれども、ハッピーエンドならいいじゃんと考えてしまうのは歳を食った証拠だろうか。だって泣いたし。


超短編
「超能力研究」:読めた。つまらん。
「箱庭」:上にあるとおり、伏線以外の価値は無い。
「オブジェ」:ちょっとよかった。西村雅彦を思い出した。
「拡大コピー」:これも読めたなあ。