「対自核」の巻

 タイトルを見て「ユーライア・ヒープか!」とツッコミを入れるか「大槻ケンヂか!」とツッコミを入れるかによってそのひとの音楽歴や年齢層がわかる。
 それはさておき、以降は「世にも奇妙な物語 春の特別篇」の全話レビュー。読みたくない人は今のうちにブラウザで戻るなりウインドウを消すなりしてください。




















 まず今回は超短編がなくなった。時間と予算と反響の折り合いを見て損だと思ったのだろう。まあ無理もない。
 今回のテーマは当初「頭脳」だと思っていたがどうやら「自分/他者」としたほうが良さそうだ。他者を通して見る自分、自分の思い描くイメージと実際の自分との乖離、あるいは「絶対的な他者」としての「自分」などなどさまざまに思い描くことが出来たためである。


☆第一話「才能玉」
 まず平山あやがかわいい。こういう「擦れ気味」な印象を持たせる女性はわたしの非常に好むところである。肝心の内容なのだが桜井翔の表情はなかなかにいい感じだった。オチはひどかったけど、まあトップバッターだし仕方ないのかもしれないといったところか。

☆第二話「ヴァーチャルメモリー
 お家芸、近未来モノ。レンタルビデオというメディアは「世にも」で何度か扱われてきたのでその系譜に属するともいえよう。全体に漂う無機質さと加藤あいの平面的な表情はマッチしていた。が、これもオチが弱いし読めた。あと「記憶を売る」っていうのはレギュラー放映時代にもやってなかったか?確か小堺一機が主演だったような。

☆第三話「雰差値教育」
 結構多い「捩りもの」のひとつ(Ex.前回の『猫が恩返し』)。っつーかまた永作博美か。ちょっと前に「サイゴノヒトトキ」で出たばっかりなのに。などと苦言を並べたが最後の彼女の表情は今回のベストアクト。「他者との関係の中で潤滑に生きることこそあるべき姿」というテーマと「教育とは生徒にせよ教員にせよ結局自分の成績を中心に考えている」という裏テーマがぶつかり合って生まれたのがあのラストだと思う。やるじゃん永作。でも温水洋一は無条件に笑いが込みあがってくる。

☆第四話「午前2時のチャイム」
 これも似たようなタイトルがあった気がする。工藤静香主演で。内容的には「女優」というエピソードを思い出した。これもオチが酷い。ていうか訳が分からない。あのラストはどう考えても失敗だろう。名前のあたりまでは面白かったのに蛇足とはまさにこのこと。鏡の中の主人公を何度も映していたのは真実への暗示だったのだろう。ところであれって本当にジョビジョバの坂田?

☆第五話「回想電車」
 「捩りもの」二つ目。ハイライトは小日向文世金田明夫の共演だろう。並んで出てきた瞬間、引き寄せられた。この感覚が分かる人とはきっと友達になれそうな気さえする。だが、これもオチが酷い。結局何がどうなってああいう結末になったのか、説明を求めたい。冒頭に出てきた建物は昼ドラ「ミセス・シンデレラ」の第一話にレストランとして登場したのと同じだろうか?階段とか窓とかそっくり。


 今回は総じてオチがひどかった。この一言に尽きる。あとコメディものがひとつもなかった。まあホラーがお家芸なのはわかるけどコメディのほうも攻めてほしいと思う。