「結果論」の巻

 アメリカに大型ハリケーンが襲い掛かる。Zeppは全店舗においてグリーン・エネルギー(風力や太陽光による発電)を用いた運営を展開している。タワーレコードのレジにホワイトバンドが置いてある。以上の現象において、時として人は斜に構えた態度をとることがある。曰く京都議定書の離脱における天罰、曰く地球環境を逆手に取った売名行為、曰く偽善者ぶるのが気に食わない等々。いかなる評価を下しても一向に構わないだが、その評価の後に起きる、あるいは起こすべき何かしらのアクションが肝心なのである。
 ミーハーだのすぐ飽きるだのと敬遠されようが、坂本龍一のファンであり、同時に彼のように環境や政治における問題に耳を傾けることをわたしは高く評価する。それがいかに偽善や売名への欲求に満ちていたところでどんな問題があるだろうか。すべての事象は結果であり、つまり、そこに介在する煩悩だとか魂胆だとかはあろうとなかろうと強かろうと弱かろうと行動が生み出した結果にはほとんど影響しないのである。ハリケーンに関しても同様で、天罰だの何だのと騒ぎ立てるよりまず被災地へ向けて自らが出来ることをすべきだ。ナショナリストだと一方で揶揄されたアーティストたちのチャリティ・ライヴの価値は彼らの善意にはなく、ただそこに集まる金額である。
 わたしは、「自分」をしっかり持ったアナーキーな非難よりも流行に踊らされる偽善に共感する。そのような煽動のためにこそマス・コミュニケーションや高度成長を遂げた資本があるのだ。願わくは、その偽善がしっかりと対象に向かうことである。