「傍観」の巻

 マキシマム ザ ホルモンのファンに、「恋のメガラバ」とアニメ『らき☆すた』主題歌「もってけ!セーラーふく」の共通性を語ってやったら親の仇のような態度をとられた。歌詞だけ見たらどっちも変わらないと思うのだが、と畳み掛け、さらに「三度の飯より飯が好き」ってそれタイムマシーン3号のパクリじゃねーか、の一言で点火してしまったらしく、それから延々メタルミュージックの流れとマキシマム ザ ホルモンの経緯について講釈される。多少の間違いはあったもの、面倒なのでそのまま放っておいた。
 オタクという種族はほかのジャンルのオタクを軽蔑する傾向が強い、というか一緒にされるのを極端に嫌う。それは一種の選民思想にも似てオタクの不気味さに一役買っているわけだが、ともかく滑稽である。上に挙げた例はその典型で、音楽オタクがアニメオタクを毛嫌いしている様子だ。理論武装してひたすら知識をひけらかすという点において、またその奇妙さにおいては非常に共通しているのだけれども本人たちにその自覚はない(というところも似通っている)。
 オタクにおいて残念なのはその知識を学問や経済にフィードバックできない点である。これは知識そのものが還元不可能、というのではなく彼ら自身にその力がないというだけだ。サム・ダンと先のマキシマム ザ ホルモンのファンとの違いがここにある。貪欲に専門的知識を詰め込むだけでは自家撞着に陥るのは当然であり、そこには時間と財産との浪費しかない。そこからさらに一歩を踏み出し別の次元との共通性や差異を見出して、知性や金に換えることができるか否かが問題なのだ。人間として生きる以上、金儲けの糧にならないものは一様に価値がない。