2005-01-01から1年間の記事一覧

 「結果論」の巻

アメリカに大型ハリケーンが襲い掛かる。Zeppは全店舗においてグリーン・エネルギー(風力や太陽光による発電)を用いた運営を展開している。タワーレコードのレジにホワイトバンドが置いてある。以上の現象において、時として人は斜に構えた態度をとること…

 「線画」の巻

雨が嫌いだ。やる気を覿面に殺いでくれるからである。まず外へ出られない。というわけでインドアで過ごすわけだが(基本的に引きこもりなのだけど)もう本を読むのすら鬱陶しくなる。レコードも要らない。講義やバイトがある日は尚更だ。何より傘で片手が塞…

 「映画館にて」の巻

小説や漫画の映画化が当然の手法となっている昨今であるが、個人的に述べれば邦画においてそれはほぼ確実に質を低めている。例えば「2001年 宇宙の旅」。これは映像でなければ出来ないことを多分に用いている。映画化するに足るのだ(事実、映像特殊効果部門…

 「カーテン・コール」の巻

阿部和重「ニッポニア・ニッポン」を読む。これで彼の代表作はあらかた読んでしまったことになるのだが、総括するとやはり「グランド・フィナーレ」は異色作であったことを確認できた。デビュー作「アメリカの夜」からあった「肉体改造」というベースライン…

 「壁に耳あり」の巻

阿部和重「トライアングルズ」を読む。ストーカーの深謀遠慮における一切の告白を、それを聞いた子供の視点から展開していくという話である。序盤でいろいろと謎を提示しておいて少しずつひもといていき、大事件へ近づいていくというスタイル。つまり、すべ…

 「ハッピー・バースデイ」の巻

「足あと」を辿ると、偶然に本日が誕生日であるという方がいらしたので、お祝いを述べたい。おめでとうございます。面識はございませんが、この一年があなたにとって価値あるものにならんことをお祈り申し上げます。 さて、存在の誕生とは何か。その過程や結…

 「即物的快楽礼賛」の巻

お酒が好きだ。大好きだ。あの香りが好きだ。その喉ごしが好きだ。あの脳が麻痺した感じが好きだ。無いと生きていけないというほどではないけれども好きだ。酔うと口の端が吊り上がるので仏頂面にならないから好きだ。何より、合法ドラッグであることが好き…

 「形無き舶来品」の巻

漱石が「I love you.」という一文の和訳を学生に問われて「日本語にそんな言葉はない。『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ」と返したという逸話があるが、確かに日本人にとって愛とは存在し得ない感情のひとつである。そもそも感情かどうかすら定かではない…

 「追憶、穏やかに」の巻

村上龍「ラブ&ポップ」読了。書かれてから10年が経つわけだが、意外とこの時代における記憶が鮮明であることにまず驚いた。当時のわたしは小学生であり、東京とはいえ郊外に住んでいたので渋谷は勿論のこと援助交際とも縁遠い日々にあった(幸か不幸か、渋…

 「我が名は pt.2」の巻

「新井銘菓」という名はわたし自身と無関係というわけではなく、本名のアナグラムである。以前に下の名前のことを書いたが、それは実に一般的でどこにでも転がっているような類のものなのだ。翻って苗字だが、これは非常に珍しい種類で、法事くらいでしか、…

 偶然

偶然、食事が終わって皿を片付けていた。 偶然、テレビのチャンネルを回した。 偶然、ニュースで見沢知簾氏の訃報を知った。 ご冥福を祈ります。

 「秋はつとめて」の巻

フジテレビで早朝5時にやっていた衆議院比例代表議員選出選挙の政見放送を観る。放送したのは自民党、新党日本、民主党の三つ。それぞれについてコメントをば。 まず自民党は小泉純一郎氏がソロでご登場された。薄い黄緑色の襟付き長袖シャツにノータイ、い…

 「YOU LOVE HIPHOP?」の巻

現在のところ、日本においてhiphopという文化は根付いていないと思われる。Rapという点においては多少手に入れた感じはあるものの、hiphopとして観るとやはり首を傾げざるを得ない。 まず、聴けばわかることだが日本の「hiphop」と銘打たれたものは音が多す…

 「頬を伝うもの」の巻

涙腺が緩いことは何の得にもならない、とつくづく思う。これは別に男が泣くのが格好悪いとかそういうのではなくて、論理化できない涙の存在があることが悔しくてならないのだ。いわゆる「感極まった涙」というやつである。喜びでも悲しみでもない、位置づけ…

 「科学的映画論」の巻

昨日はバイトが早く終わったので「Kill Bill vol.1」を鑑賞した。もう何回目になるかわからないが、面白い。ご存知の通り人間がばっさばっさ斬られていくのだが、ここでふとわたしは別の映画を思い出した。ジャンルは違えど流血の量では劣らない『エルム街の…

 「カレーライス」の巻

食卓からカレーの香りがしている。基本的に我が家ではルウにバーモントカレーを用いているが、辛いものを好む母は無印良品の4人用で200円のレッドカレーをよく食している。遠藤賢司もこのへんを喰えるのだろうか。とかくにカレーを好まない日本人というのは…

 「夢、それはドリーム」の巻

「I have a dream. One day〜」といえばキング牧師だが、わたしにも似つかわしくない空想的な夢がある。断じて言うが栗山千明嬢との結婚ではない。確かに本日は久々に「動く栗山千明」を見てやや興奮気味だが、いくらなんでもそれは分不相応だし、それ以前に…

 うほっ

久々に動く栗山千明さんを拝見する。綺麗とか美しいとかよりも「ヤバい」という印象が最も合致する風貌であることを再確認。

 「読書のススメ」の巻

価値ある本とは何か。これは結局すべての本がかつては「現代文」であったことを想起すれば簡単に定義できる。すなわち当時の世相を反映した本である。漱石の『こゝろ』に何故価値があるのか。それは「愛」という概念の日本における在り方を描いているからだ…

 「反・読書論」の巻

2005年度の東京大学の現代文を読んできた(一問目の『哲学入門』)のだが、実に陳腐というか高校生くらいならこの程度なのだろうという意味で非常に失望した。現代文と称されるジャンルに属するものは結局「現代」という存在を様々な方法で切ったその側面で…

 「神童」の巻

夏休みになるとたまにテレビ番組で人並み外れた知力を持つ子供たちが紹介される。日本の風物詩である。5歳にして魚偏の漢字を読めたり、与えられた仮名から瞬時に諺や故事成語を引き出せたりととかくにヴァラエティに富んだ「神童」たちがブラウン管に登場す…

 「いと」の巻

夢野久作「ドグラ・マグラ」読了。足掛け二日。「シンセミア」と重ねて、長編ならこの程度で読めるらしいことを認識した。で、物語のほうだが実に面白かった、と書けばそれで終わってしまうので野暮な所業と重々承知の上で書き連ねてみることにする。 「DEAT…

 「続・お笑い芸人雑感」の巻

とかくに笑いを飯の種とする、あるいはしようとする人々は実に要領の悪い方々である。感性の中で最も人工的捏造が困難なものは笑いだろう。怒りは逆鱗に触れれば容易く引き起こせるし、悲哀は同情でもって導くことが可能だ。その人の趣味に合わせれば「喜び…

 「お笑い芸人雑感」の巻

昨今はお笑いブームとか何とかでテレビを見ていても5分に一回はお笑い、といった塩梅で食傷気味である。父は別に何もすることがないので日がな一日テレビを見て、やはり5分に一回笑っている。浮世のしがらみとは無縁の人間であり、即ち幸せものだ。そもそも…

 「差し金の乱舞」の巻

シェイクスピア「ハムレット」読了。日本語訳は福田恒存氏による。恥ずかしながら20歳になるまでシェイクスピアに触れていなかった。今回は「ハムレット」でもって体験したわけだが、なるほど、役者連中がこれを演劇せんと躍起になるのも大いに頷ける。つま…

 「空に思ふ」の巻

空に思ふ。 古人曰く「月はくまなきをのみ見るものかは」と。 倣ひて申す。月は宵闇に顕正して浮かぶをのみ見るものかは。 白き面してつとめての空にかげ消えゆくもをかし。 われもまたかく消えゆくもがな。

 「我が名は」の巻

わたしはファーストネームで呼ばれることを大いに嫌う。物心ついたときから、訳もなく嫌っていた。年上なら許すが、同年代だとやや癪に障る。外国人にすら、わたしは「名」で呼ばれたくない(何故ああも彼らは苗字で呼びたがらないのだろうか)。苗字が発音…

 一言

単位を取りたいがために解答用紙に綺麗事を書いた日は、右の手首を切り落としたくなる。

 「文学最前線」の巻

『文藝』2005年夏号を読み返す。実際、何度も読み返しているのだ。とりあえず山田詠美はあまり好きじゃないので研究しておく必要があるからだ。というより現代女流文学そのものが好きじゃない。面白くない。金原ひとみの新作中篇もなんか拒食症の女性が出て…

 「レビュー」の巻

阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』読了。二時間くらいか。とりあえず東京という都市空間が文学に与えた影響を探るつもりで読んだが、あまり資料としてはよろしくなかった。面白いからだ。 全体としては「随分と親切なつくりだなあ」という…