コラム

 「空白の時代」の巻

1960年代はロックの年代だとか70年代の学生運動が好きだとか80年代のディスコティックに神経が麻痺させられたとか書いても実際にわたしのとってリアルなのは紛れもなく1990年代である。殊に年代末のことをわたしはきっと忘れないと思う。すると年長者は言う…

 「クリスマス」の巻

サンタクロースは確かにいると思う。 良い子のところにしか来ないだけであって、 多くの人がサンタクロースを信じていないのは 単に「自分が良い子ではない」と 心のどこかで確信しているがゆえである。

 「青年パンク」の巻

自分はパンクが好きなのだと自覚した。これまで自身の音楽に対する興味は電子音楽に向いており、クラフトワークからグリッチ、デトロイトテクノ、トランス、ガバとまず根幹に電子音があることが基調だと思っていた。が、どうやらそれとて「パンク」という概…

 「芝浜」の巻

タイムリーな話題を。立川談志による「芝浜」を見る。ドラマ「タイガー&ドラゴン」で取り上げられたのでご存知の方も多いと思うが、この談志ヴァージョンは名演なので是非ご覧頂きたい。落語は大きく二つの方向に噺が分けられる。笑い話と人情話だ。前者は…

 「カラオケ不可」の巻

くるりの最新マテリアル「NIKKI」を聴く。シングルでは「ワールズエンド・スーパーノヴァ」以来のミニマル系「赤い電車」が素晴らしい出来だ。TR-808(だと思う)のビートと岸田繁の声は本当に相性が良い。「ワールズエンド〜」では909だったか。単にわたし…

 「25年目の三羽烏」の巻

やっとBeastie Boysのベスト盤を購入した。DEEP PURPLEに絆されていた中学生の時分に「Fight for your right」を聴いて以来、企画盤「Grammy Nominees」でその名を見たときはちょっと嬉しかったり、テレビでDJ Mix Master Mikeのスクラッチプレイを目の当た…

 「We were born to run」の巻

金原ひとみ「蛇にピアス」読了。読もう読もうと思ってすっかり忘れていた。全体的に谷崎「刺青」の匂いがする。あれも結局SMの話であり、主人公がSからMへ移る様が一応の全体を為している。さて「蛇にピアス」であるが、「刺青」に川端「水月」を足して現在…

 「説教」の巻

昨日の話。外へ出ると幼稚園児だか小学生だかの群れがわーっとキャンパスに広がっていた。一人が駆け寄ってある学生に向かって「なにけんしゅっしんですか?」と訊いていた。ぶん殴ってやろうかと思った。少なくとも軽く説教はたれることだろう。彼らはいわ…

 「展覧会の絵」の巻

「シンガポールで性の展示会、警察は現地視察で監視」 http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/singapore.html?d=18reutersJAPAN194445&cat=17&typ=t 上の記事の中に、以下のような文章を見つけた。 > 警察スポークスマンのビクター・ケオン氏は > 「…

 「ゆー らぶ ひっぷほっぷ?」の巻

たまには軽い話でも。「HIP HOP BIBLE」という日本語ラップのコンピレーションCDがある。「黒盤」「白盤」の二枚に分けられているのだが、前者は90年代後半〜2000年代の楽曲が収められている。曰くDABO、S-WORDなど。サグなビーボーイたちにバカウケな感じだ…

 「新体制」の巻

友原康博の詩を読んだ。ゲロ吐きそうになった。文学と身体との融合が確かにそこにある。どちらか一方による擁立ではなく、身体なくして彼の詩はあり得ず、文学なくして彼自身はあり得なかったに違いない。それは要するに天啓である。鈴木光司「リング」で浅…

 「低迷」の巻

前回はSMについて大いに語ったのだが、読んでしまった人には精神的苦痛を味わわせてしまったことだろう。マイミクシィが8人もいる人間が「フィストファック」とか書いちゃ駄目だろ。大体「フィストファックって何ですか」て訊かれたらどうするつもりだったの…

 「ホスト及び風俗に関する短い考察」の巻

ホストという職業はあらゆる労働の中でも過酷を極める重さがあると思う。このあたりを機会があったら是非「八王子の夜の帝王」こと土田社長に伺いたいものだ。まず彼らが凄まじいのは仕事で酒を呑まねばならないことである。これは酒が好きな人間にとっては…

 「恋というもの」の巻

以下の和歌を内容を踏まえて現代語訳せよ。 ひとを思ふ心はわれにあらねばや身のまどふだに知られざるらむ これは実は先日のある講義において取り上げられたもので、ひとりの学生が以下のような現代語訳をしてくれた。 「誰かを想う心がわたしには無いので、…

 「2007年」の巻

今月8日は都立六本木高等学校の説明会だったらしいが、これには参加すべきだったと思う。文学方面へ向かっていって、もう教員免許はいいかなと考えていたのだが、最近になって定時制高校に食指が動いていることを自覚したからである。中でも六本木高校のカリ…

 「価値と値段」の巻

大学という教育機関に身を置いて驚いたことのひとつが、教科書を後輩に売り払う、という伝統的アクションである。これを見て真っ先に勿体無いという印象がわたしの脳裏に登場する。当然これは低所得者層民特有の真に身勝手な倹約精神、言い換えれば貧乏根性…

 「電波塔」の巻

ASIAN KUNG-FU GENERATIONに「電波塔」という曲がある。ファーストアルバム『君繋ファイブエム』の三曲目であり、シングル曲だった「未来の破片」の次に配置されている。序盤は正統派ロックなのだが、一回目のサビが終わると何故かベースパートが抜けて軽く…

 「A boy colored Pinkdark」の巻

映画「チャーリーとチョコレート工場」が観たいのだけれど、最寄の映画館では上映の予定はないという。仕方ないが立川まで足を伸ばさなければならない。本も買うのも映画を観るのも立川へ訪れる必要がある。CDなら何とか間に合うがレコードではやはり立川へ…

 「結果論」の巻

アメリカに大型ハリケーンが襲い掛かる。Zeppは全店舗においてグリーン・エネルギー(風力や太陽光による発電)を用いた運営を展開している。タワーレコードのレジにホワイトバンドが置いてある。以上の現象において、時として人は斜に構えた態度をとること…

 「線画」の巻

雨が嫌いだ。やる気を覿面に殺いでくれるからである。まず外へ出られない。というわけでインドアで過ごすわけだが(基本的に引きこもりなのだけど)もう本を読むのすら鬱陶しくなる。レコードも要らない。講義やバイトがある日は尚更だ。何より傘で片手が塞…

 「映画館にて」の巻

小説や漫画の映画化が当然の手法となっている昨今であるが、個人的に述べれば邦画においてそれはほぼ確実に質を低めている。例えば「2001年 宇宙の旅」。これは映像でなければ出来ないことを多分に用いている。映画化するに足るのだ(事実、映像特殊効果部門…

 「ハッピー・バースデイ」の巻

「足あと」を辿ると、偶然に本日が誕生日であるという方がいらしたので、お祝いを述べたい。おめでとうございます。面識はございませんが、この一年があなたにとって価値あるものにならんことをお祈り申し上げます。 さて、存在の誕生とは何か。その過程や結…

 「即物的快楽礼賛」の巻

お酒が好きだ。大好きだ。あの香りが好きだ。その喉ごしが好きだ。あの脳が麻痺した感じが好きだ。無いと生きていけないというほどではないけれども好きだ。酔うと口の端が吊り上がるので仏頂面にならないから好きだ。何より、合法ドラッグであることが好き…

 「我が名は pt.2」の巻

「新井銘菓」という名はわたし自身と無関係というわけではなく、本名のアナグラムである。以前に下の名前のことを書いたが、それは実に一般的でどこにでも転がっているような類のものなのだ。翻って苗字だが、これは非常に珍しい種類で、法事くらいでしか、…

 「秋はつとめて」の巻

フジテレビで早朝5時にやっていた衆議院比例代表議員選出選挙の政見放送を観る。放送したのは自民党、新党日本、民主党の三つ。それぞれについてコメントをば。 まず自民党は小泉純一郎氏がソロでご登場された。薄い黄緑色の襟付き長袖シャツにノータイ、い…

 「頬を伝うもの」の巻

涙腺が緩いことは何の得にもならない、とつくづく思う。これは別に男が泣くのが格好悪いとかそういうのではなくて、論理化できない涙の存在があることが悔しくてならないのだ。いわゆる「感極まった涙」というやつである。喜びでも悲しみでもない、位置づけ…

 「カレーライス」の巻

食卓からカレーの香りがしている。基本的に我が家ではルウにバーモントカレーを用いているが、辛いものを好む母は無印良品の4人用で200円のレッドカレーをよく食している。遠藤賢司もこのへんを喰えるのだろうか。とかくにカレーを好まない日本人というのは…

 「夢、それはドリーム」の巻

「I have a dream. One day〜」といえばキング牧師だが、わたしにも似つかわしくない空想的な夢がある。断じて言うが栗山千明嬢との結婚ではない。確かに本日は久々に「動く栗山千明」を見てやや興奮気味だが、いくらなんでもそれは分不相応だし、それ以前に…

 「反・読書論」の巻

2005年度の東京大学の現代文を読んできた(一問目の『哲学入門』)のだが、実に陳腐というか高校生くらいならこの程度なのだろうという意味で非常に失望した。現代文と称されるジャンルに属するものは結局「現代」という存在を様々な方法で切ったその側面で…

 「神童」の巻

夏休みになるとたまにテレビ番組で人並み外れた知力を持つ子供たちが紹介される。日本の風物詩である。5歳にして魚偏の漢字を読めたり、与えられた仮名から瞬時に諺や故事成語を引き出せたりととかくにヴァラエティに富んだ「神童」たちがブラウン管に登場す…